わが国において、内視鏡外科手術は1990年に開始されましたが、開腹や開胸手術に比べて利点が多いことから急速に普及し、外科学は大変革を迎えました。内視鏡外科フォーラムは、1992年4月に徳村弘実先生が第1回学術集会を開催、当初は年2回の開催で東北における内視鏡外科手術の先導の役割を果たしてまいりました。2019年1月に任意団体内視鏡外科フォーラム(東北)は解散し、特定非営利活動法人内視鏡外科フォーラムとして継承され、30年の歴史があります。徳村前理事長の後任として、歴史と伝統ある本フォーラムの理事長を仰せつかったことは大変光栄であると同時に、その重責に身の引き締まる思いです。
内視鏡外科手術の技術革新は目覚ましく、現在では多くの診療科で本術式が第一選択となる疾患も多くなりました。さらに現在では、医療用ロボットが手術場に大変革をもたらし、情報技術や遠隔手術も視野に入れて、ロボット支援下手術への転換期を迎えようとしています。ロボット支援下手術は、内視鏡外科手術に熟練したエキスパートにはより精密な手技が可能となり、若手医師に対する手術教育の向上などの利点があると思います。しかしロボットの本体価格や運用・保守費用の課題から、東北地方では導入施設がいまだ少なく、若手医師への教育を行うほどの余裕がないのが現状です。議論すべきことが山積の中で変革期を迎えつつある現状で、安全性を担保しつつ患者へ真の利点を還元できる手技・技術は何か、将来のために今何をすべきかを考えて、東北の内視鏡外科のさらなる発展に貢献していきたいと考えています。
今後とも、会員および関係各位のご協力とご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。